山梨学院大学 スポーツ科学部

矢部 哲也

講師

担当授業

成人スポーツ論/体育科内容・指導論(体育実技)/保健体育科教育法(保健)/教育実習研修/教職実践演習/スポーツキャリア演習Ⅰ・Ⅱ/スポーツ専門演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ

メッセージ

 私たちの身体は、生命が誕生して以来、数十億年という長い年月をかけて、環境の変化に適応するための精巧な仕組みを獲得してきました。運動やスポーツも、そうした進化の過程で培われた、心身の健康を維持するための重要な要素です。近年、運動が心の健康にもたらす効果が科学的に明らかになりつつあります。私の分野では、運動が心身にどのような影響を与えるのか、そのメカニズムを分子レベルから解き明かそうとしています。こうした研究を通じて、現代社会が抱える精神疾患や生活習慣病といった問題の予防・改善に貢献するとともに、健康増進、さらにはアスリートのパフォーマンス向上に役立つ新たな知見を創出することを目指しています。私たちと一緒に、運動と健康の謎に挑みませんか?

スポーツ専門演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ(ゼミ)

 私の分野では、運動やスポーツが私たちの心身に及ぼす影響を、分子・細胞レベルから個体レベルまで、生化学的な視点で解き明かす運動生化学を専門的に学びます。運動はなぜ健康に良いのか?最適なパフォーマンス発揮のためのコンディショニングは?などの疑問に対し、皆さん自身の興味関心や問題意識に基づいた研究テーマを設定し、仮説構築、実験・調査計画の立案、データ収集・分析、結果の考察、論文執筆、そして研究発表まで、一連の研究プロセスを実践的に学びます。単に知識を習得するだけでなく、自ら問いを立て、科学的な手法で答えを探求するプロセスを通じて、社会問題の核心を見抜く力、情報を正しく解釈する力、現象を鋭く観察する力、論理的に思考する力、基本的な情報処理能力、そして、より良い未来を望む道徳心を養います。さらに、最新の研究論文の抄読や活発な議論を通して、運動生化学の最先端の知見に触れるとともに、スポーツ指導者や医療関係者、健康・体力づくりに関わるあらゆる分野で活躍できるような基礎を学びます。

研究ビジョン

 私が高等学校保健体育教諭として勤務する中で、ストレスや不安を抱える生徒の多さに直面し、彼らのメンタルヘルスをサポートする方法を模索していました。そうした中、体育授業において、生徒たちが運動を通じて、表情が明るくなったり、発言が増えたり、生徒間のコミュニケーションが活発になるなど、ポジティブな変化を示すことに気づきました。この実体験が、運動の精神面に及ぼす影響を科学的に探求する強い動機となりました。現代社会において、メンタルヘルス不調は増加傾向にあり、深刻な社会問題となっています。運動がメンタルヘルス不調の予防や改善に有効である可能性は、多くの先行研究で示唆されていますが、その作用機序には不明な点が多く残されています。そこで私は、運動が心身にどのような影響を与え、メンタルヘルスを改善するのか、その包括的なメカニズムの解明を目指しています。将来的には、本研究で得られた知見に基づき、個人の年齢、健康状態、生活環境等に最適化された運動プログラムを開発・提案することで、メンタルヘルス不調の予防と改善、さらには、QOL向上に貢献したいと考えています。

研究テーマ

  • 運動が気分の変化を引き起こすメカニズム解明
  • 気分の落ち込みを予防する運動方法の開発
  • 心身症がもたらす生体への意義の究明
  • 脳振盪による気分障害の発症リスクの調査
  • 屋内、屋外での運動が気分改善におよぼす影響の検討
  • ヒト脳内変動を観察するための測定方法の開発

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