山梨学院大学 スポーツ科学部

上田 誠仁

教授

担当科目

 競技スポーツマネジメント論/競技スポーツ演習(組織マネジメント)/スポーツキャリア演習Ⅲ・Ⅳ/スポーツ専門演習Ⅲ・Ⅳ

受験生・学生へのメッセージ

 スポーツという行為が身近な存在となる以前に遊びがあった。昭和生まれの私は野球のバットにグローブを抱え宿題をそっちのけで近くの空き地へと駆けて行ったものだ。遊びは楽しいのだが、もっと楽しむためには上手くならねばならず、その為の工夫と努力は必須であった。上手い上級生や仲間の動きを観察し、夜のプロ野球中継のプレーをくいるように見ていた。自分もあのように打ったり投げたり出来ないものかと思案したものだった。その思考の延長線上に今がある。思い起こせばあの時がスポーツ科学への道に一歩踏み出した時であった気がする。当時のT Vアニメはスポ根アニメと称される“巨人の星”・“アタックナンバーワン”が人気で、“明日のジョー”そして“スラムダンク”へと続いていった。指導者と選手の関係性・努力と忍耐・故障やスランプの克服・友情と絆・チームの雰囲気とチームマネージメントなどスポーツ現場で起こりうる課題が満載のストーリーが展開されていた。生活の中にスポーツが浸透し、スポーツという行為が文化として急速に定着して行ったのも1966年の東京オリンピック以降であった。医学・生理学・心理学・社会学者などの学問分類も、それぞれスポーツという分野が付け加えられるようになり、称してスポーツ科学という学問分野が確立されてきた。

 私はスポーツをする・みる・支えるという観点からどのように選手やチームをコーチングしマネージメントしてゆけばよいのかという問いを立て(?)、解を求め(!)、現場で実践できる人材育成を目指すことに主眼を置いた研究と講義及びコーチングを展開しています。皆さんと一緒に、さまざまな問いを立て、解を求めてゆくために考察を深めてゆきましょう。

保護者へのメッセージ

 良きスポーツ実践者として知見を深めるスポーツ科学部での学びは、実社会での対応力を高めることと確信しています。例えば、競技活動を行ってきた経験者であっても、従順に指示に従い続けてきただけであれば、指示を出す人が存在しなければ、考察することも行動に移すことすらできないようになってしまう可能性があります。それではスポーツが持つ本来の力を獲得したとは言えません。しかしながらスポーツ科学を学んでいるアスリートは、トレーニング内容やチーム運営方法・体調管理などにおいても“何故”を考察しどのようにすれば良かったのかを振り返り“課題解決の方法”を導き出す思考回路を獲得できます。その上で“このように取り組んでみよう”という発想と行動力に結びつけることができるからです。スポーツ科学を学ぶということは、たとえ困難や苦難の中にあっても、知識と経験を活かし時には仲間と共に力を合わせ課題解決に果敢に挑んでゆくスキルを獲得することにあるからです。それこそが現代社会が求めている人材であるはずです。そのようなヒューマンスキルを育むために講義やゼミ活動・クラブ活動のみならず大学生活全体を通して力を注いでゆきたいと思います。

スポーツ専門演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ(ゼミ)

 スポーツ専門演習(ゼミ)では、陸上競技を主な課題としつつスポーツ全般のトレーニング及びマネージメント・プロモーションなど現在のスポーツ界に関する各種課題を明らかにしつつ討議を重ねています。その中から興味のある研究課題を選定し、先行研究の検討・分析を行い卒業論文として完成させます。また、必要に応じてプレゼンテーションやディベートを行い問題点や意見を言語化して第三者へ的確に伝える言語表現能力の向上も図りたいと思います。担当教員である私はスポーツ科学の知見を享受する事と同時に選手育成の現場で指導をしております。日々起こるさまざまな指導現場での事象を実践例とし問題提起するとともにゼミ生と共に考察しさらなる知見を広げる相互学習型の演習であることが特徴でもあります。

 元フランスサッカーチーム監督ロジェ・シュメール氏は「学ぶことをやめた時、教える事をやめなければならない。」と語っています。その言葉を礎に学生たちと共にさらに学びを深めてゆきたいと思います。

教員の研究テーマ

  • トレーニングプログラムの効果的な構築と実施について(生理学・運動処方)
  • トレーニングの反応生を高めるための心身の調整について(心理・栄養・睡眠不足・疲労)
  • トレーニングの理解と応用(言語・表現・説明力・コーチング)
  • 組織マネージメントとチームビルディング(チームマネージメント・経営)
  • コンディショニングとピークパフォーマンス(医学・メンタル)
  • スポーツ障害の原因と復帰過程のトレーニング処方について(医学・運動処方)

これまでのゼミ生の卒業論文テーマ(一部)

  • 競歩における厚底シューズ及びカーボンプレートの効果について
    :マラソン用シューズ(薄底・カーボンプレート装着・カーボン付き圧底)の比較
  • サッカー競技者がセパレートソックスを着用する理由と目的について
  • 高校野球とスポーツ障害の因果関係について
    :高校野球のトレーニング習慣及び環境との関係性
  • MLBにおけるリーディングバッターの技術と役割
    :MVP獲得の大谷選手の活躍の背景から
  • トレーニングストレスの変動とコンディションの関係について
    :簡易なコンディショニングの可能性
  • 高校駅伝出場者が箱根駅伝を走れる関係性について
    :全国高校駅伝区間毎の出場状況から
  • 実業団へ進む為の自己最高記録の調査研究
    :長距離選手の指標となる10000mで比較検討
  • 陸上競技におけるエルゴメータートレーニングの効果と比較
    :心拍数によるラントレーニングとの違い

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