山梨学院大学 スポーツ科学部

中垣 浩平

教授

担当授業

 スポーツ生理学/体力論/競技スポーツ体力論/競技スポーツ演習(体力)/スポーツ科学社会実装演習Ⅱ/スポーツキャリア演習Ⅲ・Ⅳ/スポーツ専門演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ

受験生・学生へのメッセージ

 生理学的な視点に立つと,スポーツや運動などすべての身体活動は,筋活動(収縮)の結果として捉えることができます。筋が収縮するためには、1)神経系(脳)による運動指令信号、2)筋収縮に必要なエネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)の2つが不可欠です。この2つの観点から、皆さんの競技力を向上させるために必要な要素を考えていきます。

 例えば、箱根駅伝を走るランナーであれば、約1時間(各区間約20 km)にわたり筋にATPを供給(再合成)し続ける必要があります。競技力の高いランナーは、このATPを供給する能力に優れています。それでは、このATPを供給する能力には、どのような体の器官や組織がかかわっているのでしょうか?そしてこの能力を向上させるためにはどのようなトレーニングが効果的になるのでしょうか?

 また、サッカーやホッケーなどの球技では、試合の状況が刻々と変化します。このような競技では、ATPを供給する能力だけではなく、状況判断能力やそれに応じた複雑な動き(ボールのトラップ、ドリブル、フェイントなど)が求められます。それでは、球技選手が状況判断能力を高めるためには、どのようなトレーニングを実施すれば良いのでしょうか?

 競技力を高めるためには、ここで紹介したような生理的要因・体力的要因だけでなく、心理的要因、栄養要因、技術的要因、戦術的要因など、様々な観点からそれぞれの競技に関与する要因・要素を整理し、それらを高めるためのトレーニングを実施する必要があります。山梨学院大学スポーツ科学部では、これらの要因を広く・深く学ぶことができます。科学的・論理的に、競技力向上のための方策について考えていきましょう。

保護者へのメッセージ

 エリートアスリートやそのコーチは、主体的に課題を発見し、論理的に仮説検証を繰り返す能力に長けています。

 「Badコーチは毎年同じ失敗をする。Goodコーチは毎年新しい失敗をする。」

 これは私が尊敬するコーチの言葉です。同じ失敗でも、前者の失敗は意味のない失敗、後者の失敗は今後の改善につながる可能性を秘めた有意な失敗に区別できます。

 スポーツに限らずどのような場においても、現状の問題点を分析し、それを改善していくサイクルを繰り返すことは重要になります。4年間の学生生活を通してこれらの力を身につけ、数多くの有意な失敗・成功を経験し、社会に巣立ってほしいと思います。

研究テーマ

 骨格筋は代謝エネルギー(入力エネルギー:ATP、化学エネルギー)を機械的エネルギー(出力エネルギー:力学的エネルギー)に変換するエネルギー変換器(Living Machinery)と捉えることができます。このようなエネルギー変換器は世の中に数多くあります。例えば、電気自動車のモータもそれに該当します。電気自動車の場合は、バッテリーに蓄えられた電気エネルギーが入力エネルギー、モータの動力や走行距離が出力エネルギーに相当します。したがって、人間に例えると電気自動車のバッテリーサイズはATP供給能力に、モータ性能は骨格筋の能力にそれぞれ相当します。また、電気自動車の場合、カメラやレーダーセンサなど様々なセンサで外部の情報を受け取り、車載コンピュータで情報処理し、事故の発生を防いでいます。これは人間では、目や耳などの感覚器で受けとった情報を脳で処理していることと同じです。このように、エネルギー変換過程に着目すると、化学・物理の世界からスポーツを捉えることができます(論文の例:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpehss/68/0/68_22059/_article/-char/ja/ )。このような観点から競技力向上に向けた方策を考えることに取り組んでいます。

ゼミ生(下線)の卒業論文テーマ(一部:投稿論文・学会発表のみ)

  • 野球投手の下肢筋持久力を評価する簡便なフィールドテストの有用性
    清水千寛, 中垣浩平.体育学研究 66 457-465 2021年 
  • ウォーミングアップ方法の違いが高強度ランニングパフォーマンスに及ぼす影響 
    水谷陽子, 中垣浩平.日本陸上競技学会第20回大会 2022年  
  • 800 m 走のパフォーマンスと高強度インターバル運動中の発揮パワーの関係 
    平山陽大, 中垣浩平.第34回日本トレーニング科学会大会 2021年
  • ショートトラックスピードスケートにおけるスタートパフォーマンスと下肢筋力・パワーの関係 
    山名里奈, 中垣浩平.第34回日本トレーニング科学会大会 2021年
  • 暑熱環境下における掌冷却の効果 
    秦野南美, 中垣浩平, 花田雄大.第33回ランニング学会大会 2021年
  • トレーニング負荷定量方法の違いが,Fitness-Fatigueモデルによって予測されるパフォーマンスに及ぼす影響 
    花田雄大, 中垣浩平, 秦野南美.第33回ランニング学会大会 2021年 
  • トレーニング分析WebサービスHERCULES ARMSの有用性 
    中垣浩平, 荒井祐人, 筒井健裕, 宮腰行生.第33回ランニング学会大会 2021年
  • 自律神経活動が運動時の生理応答及びパフォーマンスに及ぼす影響
    市原弘康, 中垣浩平.第32回ランニング学会大会 2020年
  • 自律神経活動に応じたトレーニング内容の調整が無酸素性能力の適応に及ぼす影響
    市原弘康, 中垣浩平.第31回ランニング学会大会2019年

researchmap・研究者情報