山梨学院大学 スポーツ科学部

社会には無限の可能性が広がっている!

2026年3月8日

南方 隆太

「とりあえず大学進学は就職しやすそうな経済学部で…あとは野球が続けられれば進学先はどこでもいいや」

 当時高校生だった私は何の将来の目標もなく、単純に「一人暮らしがしたい」、「野球を続けたい」、そんな思いで大学進学を決めました。経済学部経済学科に入学後は、学部教育課程の講義に加えて、教職課程や公務員講座を受講し、「何か人に誇れる仕事ができればいいな」と思いながら大学生活をスタートさせました。高校まで社会科目の授業が好きだったものの数学が苦手だった私にとって、経済学部の講義はあまり面白みを感じられず、気づけば出席率が右肩下がりでした。大学の部活動やサークルに所属していなかったことで講義に一緒に出席する友人もほとんどいなかったことも、講義を欠席しやすかった一因かもしれません。(本当に、一緒に受講する友人を作っておくべきだったと今でも思います。)

 大学の講義への熱が冷めるのに反して学外での活動にはとても熱中していました。塾講師の仕事は大学1年次から副主任となり、総合型地域スポーツクラブではスタッフとしてクラブの運営や開講クラスでの指導者を経験し、社会人野球クラブに所属して現役を続けました。それぞれの場所で頼りになる先輩講師やスポーツ指導者、社会人のワークライフバランスについて教えてくれたプレーヤーなど周りの人に恵まれて多くのことを学びました。そのうち、お世話になった総合型地域スポーツクラブへ10年ぶりに足を運んでみると、パンフレットの中心に当時19歳の自分が写っていて、人とのつながりを感じました。

(総合型地域スポーツクラブのパンフレットに当時大学1年生の私が写っていました。)

 そして大きな転換期となったのは、大学2年次のゼミナール選択でした。私が通っていた大学では、学部で設置された専門科目を学ぶゼミナールのほか、教養ゼミナールと呼ばれる学部専攻科目以外のことを研究するゼミがありました。私は教養ゼミナールの「スポーツコンディショニングゼミ」に所属しました。そこでは、プレーヤーが大会当日までに練習量、食事、睡眠のバランスを考え、ベストパフォーマンスで試合に臨むためには何が必要かを学ぶゼミでした。他にもプレー中の心拍数や血中酸素濃度を測り、身体の調子を整える方法について研究しました。ただ、私の印象に残っているのは校外学習を多く実施してくれていたところでした。東北地方にあるスノーリゾートや山梨のスポーツツーリズムでスポーツマネジメントを学んだり、ゴルフ場や湖で活動したり、国立スポーツ科学センターでトップアスリートの練習見学や施設の視察をしたり見るものすべてが新鮮で、「スポーツに関わる何か特別な仕事がしたい」と思うようになりました。そんな時に恩師から「それだったら大学院へ進学して博士を取り、研究者になるのがいい」とお言葉をいただき、大学教員や研究者を目指すきっかけになりました。

 それからは日々勉強の毎日でした。1年次、2年次に講義をさぼっていたこともあり、大学院進学のために毎日講義を受講し、空いた時間で大学院進学のための勉強をしました。筑波大学大学院に進学することになりましたが、当時はスポーツの専門科目2教科、スポーツに関する英語のテストが課されていたので、体育やスポーツを大学で学んでいたわけではないので、必死に勉強をしました。経済学部の教育課程の単位をしっかりとっていればもう少し楽をできたのかなと今でも後悔します。「やりたいことがない」「やる気が出ない」こう言った気持ちで大学の講義に出ないのは本当にもったいなかったと思い、学生には自分の失敗談を交えながら、よく「大学の講義はしっかり出ておくように」と話をします。(自分で経験しなければ事の重大さには気づけないものかもしれませんが。)

 本当に当たり前なことですが、社会に出れば多様な人との出会いがあり、自分が知らなかった世界が広がっています。学生のみなさんには、ぜひ在学中に様々な世界に触れて自分の知見を深め、自分の将来像を形成していってほしいと思います。私が受け持ったゼミナールでは、大学で学んだ知識や理論を社会参画によって深めることを目指し、多様な外部機関と連携してきました。具体的には、大学スポーツ協会、総合型地域スポーツクラブ、プロ野球団、スポーツツーリズム関連団体、小学生軟式野球クラブと連携し、学生がスポーツの現場を直接経験できる校外学習を実施しました。

写真:スポーツツーリズム関連施設でのゼミ合宿

写真:ゼミで横浜スタジアムへ野球普及振興事業の視察

 社会とのかかわりが大切なのはわれわれ人間だけでなく、スポーツも同じことが言えます。現在のスポーツ政策では、「スポーツからライフパフォーマンスへ」がトレンドになっています。令和5年8月にはスポーツ庁によって「ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進について」が策定されました。スポーツ庁によると、ライフパフォーマンスとは、「困難な状況に陥ったとしてもそれを乗り越える力であり、それぞれのライフステージにおいて、環境変化や心身の変化を知覚し、心身機能を適応させながら、個々の課題解決や目標達成に向けて発揮できる能力」とされ、人それぞれのライフスタイルに合ったスポーツを実施して各自の生活の質向上やWell-beingの最大化を目指します。

 この背景には、東京オリンピックパラリンピックが終了し、スポーツ政策で次は何を目指して政策を展開していくかが課題となったことが挙げられます。例えば、トップアスリートが過ごす日本ハイパフォーマンススポーツセンターでは、ハイパフォーマンス領域で培った知見をトップアスリートのみに活かすのではなく、社会に還元することを2034年までの使命としています。

 私事ですが、2026年3月をもって山梨学院大学を離れることになりました。2023年4月に着任してから多くの先生方や職員の方々、地域の方々に支えられて職務を全うすることができました。この場をお借りして感謝申し上げます。山梨でも多くの方々との出会いがあり、多様な経験をさせてもらい、私自身学ぶことがたくさんありました。これからも大学教育に携わっていきますので、学ぶ姿勢を大切に、研究教育活動を社会に還元し続けることをモットーに邁進していければと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

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